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イベリコ豚とは?ウソとホントについて詳しく解説!

公開日: 更新日:2023.12.22
イベリコ豚とは?ウソとホントについて詳しく解説!

高級レストランのみならず、スーパーや居酒屋など様々な場所でイベリコ豚の名前を聞くようになりました。

イベリコ豚はその独特の味わいで多くの人々に愛されていますが、実際のイベリコ豚の世界は神秘に包まれている部分が多いです。

一般に「イベリコ豚=ドングリ」というイメージが広まっていますが、本当のところはどうなのでしょうか。

今回のブログでは、イベリコ豚にまつわるウソとホントを明らかにし、イベリコ豚の魅力をさらに深く掘り下げていきます。

あなたもイベリコ豚の真実を知り、その豊かな味わいをさらに楽しんでみませんか?

 

イベリコ豚のウソとホント


イベリコ豚とは?

品種としては、イベリア種100%純血、もしくはイベリア種とデュロック種を交配させた豚(イベリア種50%以上)のうち、スペイン政府が認証したものをイベリコ豚と言います。
地中海地方に起源を持ち、主にイベリア半島の中央部から南部、スペイン西部からポルトガル東部にかけてみられ、黒い脚と爪をもつ傾向があることから、スペイン語では「黒い脚(pata negra)」とも表現されるそうです。


引用元:イベリコ豚 – Wikipedia



イベリコ豚は厳密にはイベリア種という品種で、スペインがあるイベリア半島に起源を持っていることに由来しています。豚と聞いてイメージするものとは少し異なり、蹄が黒く鼻が長いのが特徴です。


「イベリコ豚=ドングリ」は間違い?

イベリコ豚の生ハムが他とは違うと言われる理由の一つに、「ドングリを食べて育っている豚」という事が挙げられます。

ドングリを食べる豚は珍しく、味も大変美味しいことから高級品として扱われるようになりました。印象的な特徴が消費者の間にも広がっていき、いつしかイベリコ豚=ドングリというイメージが定着していきました。

しかし、イベリコ豚がドングリを食べて育つというのは実は半分正解で半分不正解です。

ドングリを食べて育つイベリコ豚はごく一部で、むしろドングリを食べない豚が大半を占めています。日本で流通しているイベリコ豚も普通の飼料を食べて育ったものが多いことは想像に難くありません。


イベリコ豚の飼育方法は?

ドングリのイメージと併せてイベリコ豚は放牧されていることも有名です。広大な土地をストレスフリーに走り回っている点も特徴的ですが、ドングリと同じくすべてのイベリコ豚が放牧されるわけではありません。ドングリを食べるためにイベリコ豚は放牧され、適度な運動を行うことで肉質が良くなるものの、一方で小屋の中で一生を終えるイベリコ豚も存在します。


イベリコ豚の肥育期間は?

イベリコ豚の肥育期間は14〜20ヶ月です。しかし、具体的な期間は肥育方法や品種、目指す品質によります。

イベリコ豚は比較的成長が遅く、そのため他の豚種に比べて長い肥育期間が必要です。



ベジョータとは


ベジョータ(bellota)とはスペイン語でドングリという意味で、まさに放牧されてドングリをたっぷり食べて育ったイベリコ豚をベジョータと呼ぶのです。
ドングリを食べたイベリコ豚と、ドングリを食べていないイベリコ豚とでは肉質に大きな差が生まれます。もちろん、管理の面を考えても放牧をしてドングリを食べさせることは非常に手間がかかります。


イベリコ豚のランク分け

スペイン国内でもイベリコ豚製品の需要が増え、大小様々なメーカーが製品づくりを行うようになりました。日本でもまだ誤解されていますが、前述の通りドングリを食べたイベリコ豚のみがベジョータというランクに分けられます。
需要が増えるにつれ、ベジョータとその他のイベリコ豚との境目がどんどん曖昧になり、消費者が違いを区別できなくなるという事態が起こったのです。
ドングリを食べたイベリコ豚とそうでないイベリコ豚は手間も品質も異なるため、値段も変わってきます。消費者の知識不足につけこみ、低品質のイベリコ豚を高く売ろうとするメーカーも出てきました。

そこでスペイン政府は2014年にイベリコ豚製品の品質に関する規定を発効させました。

ハモン・イベリコのランク


この規定の目的は消費者に対してイベリコ豚の正しい情報を提供すること、ベジョータなどの呼称に対して誤解を招くことのないように明記すること、ベジョータという単語やロゴなどの記述の管理などが挙げられます。この規定では品質の違いを明確に示すように、イベリコ豚の生ハムは次のようにランク分けが行われています。


イベリコ豚は厳密にはイベリア種という品種で、スペインがあるイベリア半島に起源を持っていることに由来しています。豚と聞いてイメージするものとは少し異なり、蹄が黒く鼻が長いのが特徴です。

  • ベジョータ
  • セボ・デ・カンポ
  • セボ


ベジョータは放牧中にドングリを食べ、イベリコ豚の中で一番ランクが高くて最も価値があります。ベジョータの他には、ドングリを食べず育ったイベリコ豚をセボ・デ・カンポあるいはセボに分類します。放牧の有無と何を食べて育ったかを基準に、ランク分けがどのように決められるかを下の表にまとめてみました。

ランク 放牧
ベジョータ あり ドングリ
セボ・デ・カンポ あり 自然の穀物、ハーブなど
セボ なし 人工飼料


イベリコ豚はおおきくわけてベジョータ、セボ・デ・カンポ、セボという3つのランクに分かれます。放牧をされて育つイベリコ豚はベジョータとセボ・デ・カンポで、ドングリを食べて育ったイベリコ豚がベジョータランクに区分されます。


ベジョータは大変希少

下記の表は、ある年のスペインでのイベリコ豚の生産量と、ランクごと(ベジョータ、セボ・デ・カンポ、セボ)の内訳を記載しています。

ランク 屠畜数 割合
ベジョータ 350,000 11.4%
セボ・デ・カンポ 190,000 6%
セボ 2,540,000 82.6%
合計 3,080,000 100%


統計を見ると、全体308万頭のうちベジョータは約35万頭と全体の11%程度にとどまっています。いかにベジョータが希少な存在かを証明しています。


ベジョータになるための条件


ベジョータランクになるためには、ただドングリを食べれば良いというわけではありません。ドングリによる体重増加、放牧の期間など、決められたいくつかの事項をクリアして初めてベジョータに分類されます。

ベジョータと呼ばれるには下記の条件を満たす必要があります。

  • モンタネーラ開始時のロットの平均体重は92kgから115kgであること※モンタネーラとは放牧期間中にドングリを食べる時期のこと
  • 60日以上のモンタネーラで体重が最低46kg増加していること。
  • 堵畜時の最低月齢は14ヶ月。
  • 枝肉個体の最低重量は115kg(ただし100%純血イベリコ豚の場合は108kg)


また、ベジョータになるイベリコ豚はモンタネーラでの豚の飼育に関して、森林面積に応じて1ヘクタール当たりの飼育数が制限されています。ドングリの摂取量を守り、イベリコ豚が適度に運動を行えるようにするためです。具体的には1ヘクタール当たりの豚の数を、0.25から1.25頭と定めています。


中でもおすすめなのが、100年の伝統を誇るメーカー「アルトゥーロ・サンチェス」のハモン・イベリコ・ベジョータです。アルトゥーロ・サンチェス社のベジョータは通常の倍の期間イベリコ豚を育てることでドングリの摂取量が2倍になっています。とろけるような脂の甘味は他では味わうことの出来ない特別なベジョータの生ハムです。

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ベジョータに関する規定の問題点

ベジョータの条件は規定で定められたものの、この規定は精肉の場合には義務付けられていません。


乾燥熟成を経た生ハムであればはっきりとベジョータ、セボなどとランクが明記されていますが、精肉は表示しなくても良いということになっています。もちろん表示する場合はこの規定に則らなければなりませんが、例えばお店などで出される精肉がベジョータなのかベジョータ以外のランクのものなのかは、きちんとラベルに表示されていない限り判別が不可能なのです。

ベジョータの特徴

ドングリを多く摂取したベジョータは良質な脂を蓄え、特徴的なサシ(霜降り)が入ります。イベリコ豚は筋肉に脂肪分を染み込ませる性質があり、ベジョータランクのものは美しい肉質になります。


ベジョータの脂はオリーブオイルと同じく、オレイン酸と不飽和脂肪酸を豊富に含んでいて、健康に良い効果をもたらすと言われています。

オレイン酸は心臓病のリスクを下げる効果があるとされ、不飽和脂肪酸は良いコレステロールを増やし悪いコレステロールを減らす効果があります。

生ハムは体に悪いのか


常温で溶け出す脂と、ナッツ系の香りがベジョータならではの特徴です。冷蔵庫から出したばかりの冷たいままの生ハムは香りが少なく、そのまま食べても物足りないと感じるかもしれません。1時間程度常温にならしてあげることで、ベジョータが持つポテンシャルを最大限に引き出すことができます。


よくある質問

よくある質問


イベリコ豚の「イベリコ」の意味は?

"Iberico"とは、スペイン語で「イベリアの」という意味です。イベリコ豚は、その名の通り、イベリア半島原産の豚の品種を指します。イベリア半島とは、スペインとポルトガルを含む地域のことを指します。


「ハモンイベリコ」とはどういう意味ですか?

「ハモン・イベリコ」はスペイン語で、「イベリコ豚のハム」を意味します。ここでの「ハム」は、一般的に私たちが思い浮かべるような加工肉製品というよりは、生ハムに近い存在と考えてください。

イベリコ豚の後ろ脚を用いて、特有の製法で乾燥・熟成させた高級食材で、深い風味と豊かな脂が特徴です。

イベリコ豚はその肉質の良さから「四足歩行の生ハム」とも称され、その中でもハモン・イベリコは最高級品とされています。


イベリコ豚のエサは何ですか?

最も高品質とされるイベリコ豚は、主にアコーン(オークの実)をエサとして育てられます。

これらの豚は、スペインのデヘサと呼ばれるオークの森で放牧され、自由にアコーンを食べることができます。このアコーン食により、イベリコ豚の肉は特有の風味と、健康に良いとされるモノ不飽和脂肪酸を多く含むことになります。

一方で、アコーン以外の飼料(穀物など)を主に食べるイベリコ豚もあります。これらは「セボ」または「セボデカンポ」とラベルに記載されます。


イベリコ豚は臭いですか?

イベリコ豚はその特有の飼育方法と品種の性質から来る豊かな風味がありますが、これを「臭い」と捉えるかは人それぞれです。

また、正しく処理と調理がされている限り、生肉特有の不快な臭いはほとんどないと言われています。ただし、これは他の豚肉や肉製品と同じく、鮮度や保存状態、調理方法によります。


まとめ

ハモン・イベリコ・デ・ベジョータとは、ドングリをたっぷり食べて育ったイベリコ豚の生ハムのこと。イベリコ豚はとても奥が深く、ベジョータ、セボなど様々な種類・ランクの製品が生まれています。
作り手ももちろんですが、私たち消費者が正しい知識を持って本当に良い物を見極めていく必要がありそうです。



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この記事を書いた人

村上

サステナブルライターとして、SDGsや生活の知恵を発信しています。育児をしながら、子どもと一緒に地球に優しい生活を目指し中。趣味は料理と美術館巡り。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。