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ペットボトルは水筒の代わりになる?知っておきたいリスクと対策

公開日: 更新日:2024.04.08
ペットボトルは水筒の代わりになる?知っておきたいリスクと対策

マイボトルを持ち歩き、ペットボトルの購入を減らすことは、環境問題への貢献として注目されています。そしてマイボトルとして、ペットボトルを水筒代わりに繰り返し使う場合もあります。
ペットボトルの再利用は本当に安全なのでしょうか?

実は、ペットボトルを再利用する際には、健康リスクや環境負荷などの問題があります。

ペットボトルを水筒代わりにするメリットとデメリット、再利用時の健康リスク、安全な再利用方法、ペットボトルの正しい捨て方、そして軽量で持ち運びやすい水筒の選び方について解説します。

安全かつ環境に配慮した水分補給のための知識を深めましょう。

 

ペットボトルは水筒代わりになる?

ペットボトル水筒

メリット

ペットボトルを水筒代わりに使うとき、最初に思い浮かぶのはその手軽さです。新たに水筒を購入する必要がなく、手持ちのペットボトルに水やお茶を入れて持ち歩けば、簡単に水分補給ができます。しかも、使い終わればリサイクルに出せるため、荷物になる心配もありません。

【手軽さ】
コンビニエンスストアなどで手軽に購入できる。
洗浄や消毒の手間が少ない。
使い捨てなので、持ち運びや保管が楽。
さまざまな種類やサイズから選べる。

【経済性】
水筒よりも安価に購入できる。
繰り返し使用できる水筒よりも、ランニングコストが安い。
使い捨てなので、洗浄や消毒のための洗剤や水が必要ない。

【軽量性】
水筒よりも軽いため、持ち運びやすい。
登山や旅行など、荷物軽量化が重要な場面で役立つ。

【透明性】
中身を確認できる。
飲料の種類や残量を把握しやすい。
洗浄時に汚れが目視で確認できる。

【その他】
デザイン性の高いペットボトルもあり、ファッションアイテムとして楽しめる。
キャップ付きなので、持ち運び中に中身が漏れる心配が少ない。
スポーツドリンクや炭酸飲料など、水筒では入れにくい飲料を入れることができる。
使用後は簡単に捨てられる。


デメリット

しかし、ペットボトルは水筒として設計されていないため、この便利さの裏には、さまざまなデメリットがあります。

【衛生面】
一度開封すると、隙間から雑菌が侵入しやすくなる。
洗浄が不十分だと、雑菌が繁殖しやすい。

【健康リスク】
プラスチック成分が溶け出す可能性がある。
熱湯や冷凍庫での使用は避ける。

【環境負荷】
使い捨てなので、環境に負荷を与える。
リサイクル率は100%ではない。

【その他】
水筒よりも耐久性が低く、傷つきやすい。
水筒に比べて保温・保冷性が低い。


再利用時の健康リスク

ペットボトル再利用

プラスチック成分:健康への影響

ペットボトルは、多くの場合、ポリエチレンテレフタラート(PET)という種類のプラスチックから作られています。この素材は、一般的に安全とされていますが、繰り返しの使用や高温になる環境下では、化学物質が溶出する可能性があると指摘されています。

動物実験では、高濃度のPETを摂取した場合、発がん性や生殖毒性などが指摘されています。しかし、ヒトへの影響はまだ十分に解明されていません。

厚生労働省は、PETボトルの溶出成分について、許容一日摂取量を定めており、通常の使用であれば健康への影響は低いと考えられています。しかし、長期的に高濃度のPETを摂取した場合のリスクは未知数であり、注意が必要です。
特に、乳幼児や妊婦、授乳中の女性は、より慎重に判断する必要があります。


細菌繁殖の危険性

ペットボトルは使い捨ての容器として設計されているため、再利用する際には衛生面でのリスクが伴います。

特に、水筒として繰り返し使用する場合、口をつけて直接飲むことで、口紅や食べかすなどが付着し、ボトルの口元や内側に細菌が付着しやすくなります。
環境省の調査によると、ペットボトルを繰り返し使用した場合、1週間程度で雑菌が100倍以上に増殖することが確認されています。

さらに、洗浄が不十分だと、これらの細菌が繁殖しやすい環境が作り出されることになります。

研究によると、再利用したペットボトルには、E. coli(大腸菌)やStaphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)など、食中毒や感染症を引き起こす可能性のある細菌が検出された例があります。
特に、免疫力が低下している高齢者や乳幼児は、食中毒のリスクが高くなります。

したがって、ペットボトルを再利用する場合は、毎回しっかりと洗浄し、乾燥させることが非常に重要です。適切な衛生管理を行うことで、細菌繁殖のリスクを大幅に低減できます。


食中毒リスク:症状と予防

ペットボトルの再利用が原因で起こる可能性のある食中毒は、主に細菌によるものです。食中毒の症状には、腹痛、下痢、吐き気、発熱などがあり、場合によっては重篤な健康被害を引き起こすこともあります。

これを予防するためには、ペットボトルを再利用する前後での手洗い、ペットボトルの適切な洗浄と乾燥、そして使い捨てるタイミングの見極めが重要です

特に、洗浄は使用後に毎回、中性洗剤を使用し、ボトルの内側をブラシでこすり洗いすることが効果的です。
また、ペットボトルは再利用するごとに細かな傷が増え、それが細菌の温床になることもあるため、見た目にも変化が見られたら新しいものに交換することが推奨されます。
さらに、高温や低温での放置は避けるべきです。

正しい知識と適切な予防策を身につけることで、食中毒のリスクを最小限に抑えることができます。


ペットボトルの適切な再利用

ペットボトル短期利用

短期利用

ペットボトルを水筒代わりに再利用する場合、短期間の使用を心がけることが重要です。ペットボトルは、元々使い捨てを前提に作られているため、長期間にわたって使用すると、物理的な劣化や化学物質の溶出リスク、細菌の繁殖リスクが高まります。

具体的には、使用期間を1週間未満に限定し、新しいペットボトルに交換することが推奨されます。
これにより、細菌の繁殖や化学物質の溶出リスクを低減させることができます。また、一度開封したペットボトルは、空気中の微生物やほこりなどが容易に侵入するため、衛生面でも短期利用が望ましいとされています。

安全を優先するならば、ペットボトルは短期間で交換し、定期的に新しいものに替えることをお勧めします。


ペットボトルの洗浄法

ペットボトルを再利用する際には、適切な洗浄が不可欠です。

○キャップとボトル本体をよく洗い、水で洗い流す。
○中性洗剤を溶かしたぬるま湯で、ボトルの内側と外側をスポンジや専用のブラシで洗う。特に、口当たりや飲み口、キャップのネジ部分など、汚れが溜まりやすい部分を念入りに洗う。
○洗剤が残らないように、水でしっかりと洗い流す。
○水滴を拭き取り、完全に乾燥させてから使用する。

熱湯消毒は変形のリスクがあるため、煮沸消毒は避けましょう。また、食器洗浄機での洗浄は、傷や変形などの原因となるため、推奨されていません。

毎回の洗浄と適切な乾燥は、ペットボトル再利用の基本中の基本と言えるでしょう。


飲み物の適切な温度:変形の可能性

ペットボトルに入れる飲み物の温度管理も、適切な利用法の一つです。

【耐熱】
一般的に、ペットボトルの耐熱温度は約60℃です。ペットボトルには60度以上の熱い飲み物を入れた場合、ペットボトルが変形する可能性があります。特に、熱い液体を入れると、ボトルが膨張したり、破裂したりする危険があります。
また、ペットボトルから有害物質が溶け出す可能性があります。溶け出した有害物質は、人体に悪影響を及ぼす可能性があります。

【耐冷】
一般的に、ペットボトルの耐冷温度は約0℃です。冷たい場所に放置した場合、ペットボトルが硬くなり、破損しやすくなります。特に、凍らせると、ボトルが破裂したり、内容物が漏れ出す可能性があります。完全には凍らせないよう注意が必要です。

適切な温度で飲み物を楽しむことで、安全かつ衛生的にペットボトルを再利用することができます。
ペットボトルには、耐熱温度と耐冷温度が記載されています。必ず確認してから使用しましょう


ペットボトルの寿命

ペットボトルは、プラスチック製容器のため、劣化によって破損や成分の溶出などのリスクがあります。安全に使用するためには、ペットボトルの寿命を知ることが大切です。

ペットボトルの寿命は、その物理的な状態によって大きく左右されます。ペットボトルが劣化すると、以下の様なサインが現れます。

傷や汚れ:目立つ傷や汚れ、変色
白濁:内側が白く濁る
形状の変化:へこみや膨らみ
キャップの緩み:キャップが緩くなり、閉めにくい
臭い:プラスチック臭や異臭

これらのサインが現れた場合は、劣化が進んでいる可能性があります。安全のため、新しいペットボトルに交換することをおすすめします。


ペットボトルの正しい捨て方

ペットボトル捨て方

ペットボトルは、資源ごみとして分別回収することで、リサイクルが可能です。


分別回収の基本

ペットボトルを正しく捨てる際の最初のステップは、適切な分別です

【基本】
中身を空にして、軽く水で洗い流す。
ラベル、キャップは取り除く。

【注意点】
洗浄が不十分だと、リサイクルできない場合があります。
ラベルやキャップを付けたまま捨てると、リサイクルの効率が低下します。
地域によって、分別方法が異なる場合があります。お住まいの地域のルールを確認しましょう。

多くの地域では、ペットボトルはプラスチック類として分類され、リサイクルのために特別な回収方法が定められています。
自治体が指定する回収日に合わせて、ペットボトルを専用の回収場所へ出しましょう。
このプロセスに従うことで、使用済みペットボトルが資源として再利用され、環境への負担が減少します。

分別回収の基本を守ることは、資源の有効活用だけでなく、環境保護にも大きく寄与するため、非常に重要です


キャップとラベルの取り扱い

ペットボトルを捨てる前には、キャップとラベルを取り除く必要があります。これは、ペットボトル本体とキャップやラベルが異なる種類のプラスチックでできているため、リサイクルプロセスで別々に処理される必要があるからです。

キャップはポリプロピレン製(PP)、ラベルはポリスチレン製(PS)です。地域により異なりますが、一般的に「プラスチック製容器包装(プラマーク)」の分別に出すことができます。
また、キャップは地域によっては、回収ボックスが設置されている場合もあります。

本体とキャップ、ラベルをそれぞれ指定された方法で分別し、正しい取り扱いを行うことで、リサイクル効率が向上し、ペットボトルから新たな製品が生まれるサイクルを支えることができます。


軽量で持ち運びやすい水筒

水筒素材

ペットボトルの再利用は便利ですが、選択肢の一つとして、水筒についてご紹介します。

軽量水筒の素材と特性

ペットボトルと同様に軽く、持ち運びやすい水筒の素材には、以下のものがあります。

【プラスチック(特にポリプロピレンやトライタン)】
特性:軽量で割れにくく、透明度が高いものもあります。トライタン製の水筒は、BPA(ビスフェノールA)フリーであることが多く、化学物質の懸念が少ないです。
注意点:プラスチックは温度変化に弱い場合があり、特に熱い液体を入れると変形したり、化学物質が溶出するリスクがあります。また、キズがつきやすく、時間が経つと臭いや味が残りやすいことがあります。

【アルミニュウム】
特性:非常に軽量で、持ち運びに便利です。内部には食品安全なコーティングが施されていることが多く、錆びにくいです。
注意点:内部コーティングが傷つくと、アルミニウムが飲料水に溶出する可能性があります。また、熱い飲み物には適していない場合が多く、コーティングによっては臭いや味が影響を受けることがあります。

【シリコン】
特性:高い柔軟性を持ち、使用しない時は折りたたんでコンパクトに収納できます。耐熱性があり、熱い飲み物を入れても形が崩れにくく、耐薬品性にも優れています。軽量で、どんなバッグにも入れやすく持ち運びが容易です。
注意点:リコン製品は直射日光や高温下での長時間放置を避けるべきです。また、シリコン特有の臭いが気になることがあり、匂いや味が移りやすいため、定期的な洗浄と適切な乾燥が必要です。使用前後のケアを怠ると、衛生面で問題が生じる可能性があります。


水筒選びの注意点

耐久性:軽量ながらも、日常的な使用で耐えうる耐久性があるか確認してください。
清潔さの維持:水筒は定期的に洗浄する必要があります。簡単に分解して洗えるかどうか、または洗いやすいデザインかどうかをチェックしてください。
温度保持機能:熱い飲み物や冷たい飲み物を入れる予定がある場合、温度を保持できる二重壁構造の水筒を選ぶと良いでしょう。
化学物質の溶出:特にプラスチック製の水筒を選ぶ場合は、BPAフリーのものを選んで、健康への影響を最小限に抑えましょう。



ペットボトルの再利用は確かに便利ですが、重要なのはその安全性を理解し、自己責任で行うことです。

ペットボトルは使い捨て容器であり、繰り返し使用することを想定して作られていません。飲料メーカーも再利用は推奨しておらず、安全性を保証していません。

便利さゆえに再利用を選ぶのは個人の自由ですが、その場合は健康リスクを理解した上で、適切な対策を講じながら、環境に優しい選択を心がけましょう。





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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に交換留学で訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。